2026年 第7戦オートポリス(大分県)
前回の大会から約1カ月。ANEST IWATA Racingは10月17〜18日にオートポリスで開催された「2026 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 3Hours RACE」へと挑んだ。前戦SUGOでは、開幕戦から積み重ねてきた取り組みが、少しずつクルマのフィーリング改善やパフォーマンス向上へと結びつき始めていた。さらに、11号車「GAINER TANAX Z」とのデータ共有も一層強化したことで、第2戦富士以来となる予選Q2進出を決めた。チームとしても、これまでの努力がひとつの成果となって表れた一戦だった。決勝では序盤に突如エンジンが停止するアクシデントが発生。大きく順位を落とす苦しい展開となったものの、リ・ジョンウから安田裕信へとバトンを繋ぎ、最後まで諦めることなくライバルを追い続け、22位でチェッカーを受けた。久々のQ2進出という明るい材料があった一方で、決勝ではトラブルへの対策に加え、レースペースの底上げという課題も改めて浮き彫りとなった。それでも、シーズン序盤と比較すれば26号車「ANEST IWATA GAINER Z」の戦闘力は着実に向上しており、チームが進めてきた取り組みは決して無駄ではなかった。
公式練習
公式予選
セットアップには依然として課題を抱えていた一方、決勝でのロングランペースは決して悲観するものではなく、3時間という長丁場で巻き返す余地は十分にあった。さらに、新たに加わった三井が短期間で車両への適応を進め、予選でも速さを示したことは、チームにとって心強い材料となった。しかし、チームはここで大きな決断を下すことになった。今季ここまでポイント獲得に届いていないANEST IWATA Racingにとって、今回のオートポリス大会は、なんとしても結果を残したい一戦だった。そこでチームは、決勝での戦い方について慎重に協議を重ねた末、安田と三井の2名で3時間レースを戦うという難しい決断を下した。松浦佑亮監督は「チームとしてもシード権も含めて来年以降のことにも関わるので、まずはなんとしてもポイントを取りに行くことにフォーカスしました。チームで話し合った結果、この布陣で戦う決断をしました」と、その背景を明かした
開幕戦からルーキーとして奮闘し、レースを重ねるごとに経験を積み上げてきたジョンウにとっても、決勝のステアリングを握ることができないことは悔しい状況だった。それでも、今回の判断はチームとして今季初ポイントを掴み取るために導き出したもの。決勝を走る2名だけでなく、ジョンウも含めた全員が同じ目標を見据え、戦いに備えていく。今季ベストタイとなる16番グリッドから、目指すはポイント圏内への浮上。ANEST IWATA Racingは3時間のレースを戦い抜くための戦略を練り上げ、チームの総力を結集して決勝へと臨んだ。
決勝
天候が変わりやすいことでも知られるオートポリスだが、決勝日は朝から青空が広がり、秋晴れの絶好のレース日和となった。今大会は前売り券が完売するほどの盛況ぶりを見せ、2日間で延べ3万人ものファンが来場。サーキットは朝から多くの観客で賑わい、決勝に向けて期待と熱気が高まっていた。そんななか、ANEST IWATA Racingは決勝前最後の調整となるウォームアップ走行に臨んだ。早い段階で1分47秒620を記録し、9番手につけるなど、決勝に向けてまずまずの走り出しを見せていた。しかし、セッション終了まで残り2分ほどとなったところで、思いもよらぬアクシデントが発生する。安田裕信がドライブする26号車「ANEST IWATA GAINER Z」の左リヤタイヤが突如として脱落。安田は車両をコースサイドに止めざるを得なくなり、チームは一転して緊迫した状況に置かれた。ピットアウトからすでに数周を重ねていたにもかかわらず、突然タイヤが外れるという予期せぬ事態。第4戦富士の決勝終盤にも左側のタイヤに類似したトラブルが発生しており、チームにとっては再び頭を抱えるアクシデントとなってしまった。
そして28周目にレースが再開されると、チームはそのタイミングで三井をピットへと呼び戻し、給油とタイヤ交換を実施。ドライバー交代は行わず、引き続き三井にステアリングを託してセカンドスティントへと送り出した。メカニックたちは迅速かつ確実に作業を終え、三井も再び好ペースで周回を重ねていく。こうしたドライバーの力走とピット戦略が噛み合い、ライバルに対するアンダーカットにも成功。スタート前のアクシデントによって大きく出遅れながらも、ANEST IWATA Racingは着実に失ったポジションを取り戻し、ポイント圏内への浮上を目指して追い上げを続けていった。セカンドスティントに入ってからも、三井の勢いは衰えることがなく、安定したラップタイムを刻みながら前方のライバルとの差を詰め、コース上では次々とオーバーテイク。26号車「ANEST IWATA GAINER Z」での初レースとは思えないほど堂々とした走りで、チームの期待に応えてみせた。
他車のピットタイミングによる順位変動もあったものの、一時は9番手にまで浮上。スタート前のアクシデントによって最後尾からの追い上げを強いられたが、三井の力走とチームの戦略によって、着実に上位との差を縮めていった。その後、レースは2度目のSC導入によって再び仕切り直しとなるが、リスタートを迎えると、チームは2度目のピット作業を実施。ここまで53周にわたってステアリングを握り、力強い追い上げを見せてきた三井から、安田へとバトンを繋いだ。三井が築いた流れを、なんとしても結果へと結びつけたい。そんな想いを胸にコースへと向かった安田も、序盤から好ペースで周回を重ねていく。各車のピット作業が一巡した段階では14番手につけ、さらなる上位進出を狙って前方のライバルを追い続けた。しかし、安田にとってはチェッカーまでを走り切る長いスティントとなり、終盤にはタイヤの摩耗やブレーキの状態も影響して、思うようにペースを上げられない苦しい展開となった。前方のライバルとの差は徐々に広がっていったものの、安田は最後まで集中力を切らすことなく、クルマの状態を見極めながら懸命に走り続けた。
正式結果
公式予選:クラス16位(参加29台) Q1:1分44秒456(三井) Q2:1分44秒489(安田) 決勝:クラス9位(出走29台)、93周