2026/09/24

2026年 第6戦 スポーツランドSUGO(宮城県)

前回の鈴鹿大会から約1カ月を経て、ANEST IWATA Racingは9月19〜20日にスポーツランドSUGOで開催された「2026 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE」へと挑んだ。第5戦鈴鹿では、走り出しから思うようなフィーリングを得ることができず、改善の糸口を探るところからレースウイークがスタートした。ドライバーの安田裕信とリ・ジョンウ、松浦佑亮監督、エンジニアが密にコミュニケーションを取りながら、限られた走行時間のなかでセットアップを煮詰めていったものの、決勝ではパワーステアリングの不調に見舞われたほか、ピットストップでもタイムを失い、苦しい展開を強いられた。さらにレース後のタイムペナルティも重なり、最終結果は23位。悔しさの残る一戦となった。一方で、決勝でのレースペースには着実な改善が見られ、シーズン序盤と比較してライバルとの差も確実に縮まりつつあった。結果には結びつかなかったものの、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」が一歩ずつ前進していることを、チームとして実感できた一戦でもあった。

だからこそ、この1カ月で目指したのは、その進化を今度こそ“結果”として示すこと。チームは開幕戦から積み重ねてきたデータを改めて洗い出し、これまで発生したトラブルの検証はもちろん、マシンセットアップについても徹底的な見直しを図った。さらに、同じRZ34 フェアレディZを走らせる11号車「GAINER TANAX Z」とのデータ共有もこれまで以上に強化。GAINERとのタッグで2台体制という強みも最大限に活かしながら、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」のさらなる戦闘力向上を目指して準備を重ねてきた。積み上げてきたものを、今度こそ目に見える成果へと繋げたいところ。ANEST IWATA Racingは今季初のポイント獲得を目標に掲げ、アップダウンの激しいテクニカルコース、スポーツランドSUGOでの戦いに臨んだ。

公式練習

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台風の接近に伴い、悪天候も予想されていた第6戦SUGOのレースウイーク。搬入日の夕刻から天候は下り坂となり、予選日を迎えた19日(土)も朝から霧雨が降り続く不安定な空模様となった。公式練習にはウエット宣言が出されたものの、セッション開始時には路面の大部分が乾いており、ほぼドライに近いコンディションで走行がスタート。まずはジョンウが26号車「ANEST IWATA GAINER Z」に乗り込み、クルマの状態確認とともに、走行経験の少ないSUGOの習熟を進めていった。ジョンウは周回を重ねながら徐々にペースを上げると、午後の予選を見据えてニュータイヤを投入し、アタックシミュレーションも実施。9周目には1分19秒979をマークした。走行後には「前戦の鈴鹿大会に比べても改善を感じましたし、フィーリングも悪くありませんでした」と語り、この1カ月でチームが進めてきた取り組みが、走り出しからひとつの手応えとして表れた。
 一方で、SUGOでの走行経験が少ないジョンウにとって、まず優先すべきはコースへの習熟だった。そのため、車体バランスを細かく確認するところまでは十分に時間を割くことができず、ひと通りの走行を終えたところで安田へステアリングを託した。続いてユーズドタイヤを装着してコースインした安田も「前戦の鈴鹿よりもクルマのフィーリングが良くなっていると感じました」とコメント。ジョンウと同様に、車両の進化を走り始めから感じ取っていた。セッション後半は時折雨脚が強まるなど、刻々と変化する難しいコンディションとなったが、安田は周回を重ねながら車体バランスや挙動を細かく確認。最終的な順位こそ26番手にとどまったものの、タイムやポジションだけでは測れない前進を、両ドライバーのフィードバックから確認することができた。前戦まで積み重ねてきた改善が、少しずつ表れ始めている。その感触をさらに速さへと繋げるべく、セッション終了後もドライバーとエンジニアで入念にデータを確認し、セットアップを微調整。第2戦富士以来となるQ2進出を目指し、ANEST IWATA Racingは期待とともに午後の公式予選へと歩みを進めた。画像

公式予選

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14時30分からはGT300の予選Q1 A組がスタート。第2戦富士以来となるQ2進出を目指す26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は、その重要なアタックを安田に託した。コースインした安田は、焦ることなくじっくりとタイヤに熱を入れ、4周目からアタックを開始。渾身のアタックで1分17秒988を叩き出し、一時4番手へと躍り出た。その後はライバル勢のタイム更新によって順位を下げたものの、トップから1.044秒差の8番手を確保。激しいタイムアタック合戦を勝ち抜き、見事にQ2進出を果たした。安田も走行後には「僕たちとしては、とても良い予選Q1だったと思います」と手応えを口にした。開幕戦から試行錯誤を重ね、前戦鈴鹿からの約1カ月で改善に努めてきたチームにとっても、久々のQ2進出はこれまでの取り組みがひとつの結果となって表れた瞬間だった。
 そして安田からバトンを受け取り、予選Q2のアタックを担ったのはジョンウだ。今季スーパーGTにルーキーとして挑んでいるジョンウにとって、Q2を走るのは今回が2度目。第2戦富士以来、3戦ぶりとなる予選でのアタックに挑んだ。予選用タイヤの性能を最大限に引き出すには、スイートスポットを逃さない緻密なウォームアップが求められる。ジョンウも午前の公式練習でニュータイヤを装着して行ったアタックシミュレーションを振り返りながら、慎重にタイヤを温めていく。3周目から本格的なアタックに入ると、まずは1分19秒台をマーク。翌周にはさらに0.321秒短縮し、5周目には1分19秒140までタイムを縮めた。しかし順位を上げるまでには至らず18番手となり、ジョンウにとっては、今後さらなる経験を積み重ねていくうえで課題も見えた予選となった。
 予選後、松浦監督も「他車との交錯もあり、ジョンウも思ったようなアタックができなかったと思いますが、彼ももう少しレベルアップが必要だと思います」と振り返った。予選Q2では悔しさを残した一方、チーム全体に目を向ければ、第2戦富士以来となる予選Q1突破を実現。開幕戦からマシンと向き合い続け、試行錯誤を繰り返してきた成果が、少しずつではあるものの確かな形となって現れ始めていた。次なる目標は、その前進を決勝の結果へと繋げること。今季初のポイント獲得を目指し、ANEST IWATA Racingは予選で得た手応えを胸に、決勝へ向けてさらなる準備を進めていった。

決勝

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決勝日は雨予報となっていたものの、前日に引き続き上空には厚い雲が広がり、時折小雨が落ちる不安定な天候となった。それでもシルバーウイークの大型連休ということもあり、スポーツランドSUGOには1万9000人ものファンが来場。さらに今回は、グランドスタンド上に設けられたANEST IWATA Racingの応援席からも多くのファンや社員が熱い声援を送ってくれた。その力強い後押しに応えるべく、チームもより一層集中力を高めて決勝レースへと臨んだ。ウォームアップ走行時には、コーナーによっては水飛沫を上げるほどのウエットコンディションとなっていたが、スタート時刻が近づくにつれて路面は徐々に回復。レコードライン上はほぼ乾いた状態となったことから、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」はスリックタイヤを選択した。そして、今季スタートドライバーを多く経験してきたジョンウに第1スティントを託した。
 不安定な路面状況を考慮してレースはSC(セーフティカー)先導で幕を開け、5周目からいよいよレーシングスピードでの戦いが始まった。ジョンウはポジションを守ってスタートを切ると、慎重にタイヤへ熱を入れながら、前を走るライバルとの差をじわじわと縮めていく。しかし、タイヤが十分なパフォーマンスを発揮するまでの間に、同じヨコハマタイヤを履く1台の先行を許すこととなった。それでも大きく離されることなく食らいつき、反撃の機会をうかがっていく。ところが13周目、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」を突如として予期せぬトラブルが襲った。走行中にエンジンが停止し、ジョンウはコース上でクルマを止めざるを得ない状況となる。突然の出来事ではあったものの、ジョンウは冷静に対処してエンジンを再始動。正常に動作することを確認し、再びレースへと復帰した。
 幸い走行を続けることはできたものの、このストップによるタイムロスは大きく、最後尾まで後退。序盤から厳しい展開を強いられることとなった。それでもレースを諦めることなく、チームは状況を見守りながら巻き返しの機会を探り続けた。そして24周目、最終コーナーでGT300車両とGT500車両が接触する大きなクラッシュが発生。FCY(フルコースイエロー)が導入され、その後SCへと切り替えられた。これによって隊列がひとつにまとまり、エンジンストップによって大きなビハインドを背負っていた26号車「ANEST IWATA GAINER Z」にとっては、前方との差を一気に縮める絶好の機会が巡ってきた。チームはこのチャンスを逃さなかった。31周終了時にSCのフラッシュライトが消え、次の周回からレース再開となることを確認すると、ミニマム周回数を満たしたタイミングでピットインを決断する。給油に加えて4本すべてのタイヤを交換するフルサービスを実施し、ジョンウから安田へドライバー交代を行った。序盤に背負った大きなビハインドを、SCによって取り戻すチャンスが巡ってきた。チームは素早い判断で戦略を切り替え、レース後半の巻き返しを安田へと託した。
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 安田はフレッシュなタイヤを活かし、ここから一気に巻き返しを図りたいところだったが、後方の集団に飲み込まれたことで思うようにクリアラップを確保できず、オーバーテイクのチャンスを作り出せない展開が続く。さらに安田自身も「序盤のようなペースもなく、順位をうまく上げられなかった」と振り返ったように、期待していたほどのペースを発揮することができず、さらにタイヤの摩耗も激しく苦しい戦いを強いられた。それでも諦めることなく前を追い続け、38周目には23番手へ浮上。そして49周目の全車がピット作業を終えた段階では22番手につけた。クルマのパフォーマンスは決して満足できる状態ではなかったものの、安田は粘り強く周回を重ね、少しずつ前方との差を削り取っていく。一時はその差を0.3秒まで縮め、オーバーテイクの機会をうかがった。しかし、GT500車両を含むトラフィックに阻まれたことに加え、徐々にタイヤの摩耗も進行。前方のマシンを視界に捉えながらも、あと一歩を詰め切れないもどかしい攻防が続いた。
 それでも最後までチャンスを諦めることなくプッシュを続け、残り10周を迎えたところでは、前走車との差をわずか0.215秒まで縮める。しかし、最後までオーバーテイクには至らず、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は22位でチェッカーを受けた。前戦よりも前方のグリッドからスタートできただけに、チームとしても今季初ポイントへの期待を持って臨んだ今回の決勝レース。しかし、序盤に突如発生したエンジンストップによって大きなタイムロスを喫したことが、その後のレースを大きく左右することとなった。レース終了時点では原因の特定には至っておらず、次戦までに徹底した原因究明を行い、再発防止へと取り組んでいく。また、決勝でのレースペースについても、我々が目指しているレベルにはまだ届いていない。予選で見せた一発の速さを決勝での強さへと繋げていくことは、今後さらに上位を争うためにも取り組まなければならない課題のひとつとなった。
 一方で、開幕戦から試行錯誤を続けてきたなか、第2戦以来となる予選Q2進出を果たせたことは、チームにとってひとつの前進でもある。まだ小さな一歩ではあるものの、これまで積み重ねてきた取り組みが少しずつコース上の結果として現れ始めていることも、今回の第6戦SUGO大会で得られた収穫となった。そして何より、今大会はANEST IWATA Racingの応援席をはじめ、現地で多くのファンから力強い声援を受け、ポイント獲得という形で応えることができなかった悔しさは、チーム全員が感じている。それでも、最後まで諦めることなく戦い抜き、無事にチェッカーまで運ぶことができた。
 次戦、第7戦オートポリス大会は約1カ月後の10月17〜18日に大分県・オートポリスで開催される。今回見えた前進を手応えだけで終わらせるのではなく、次こそ目に見える結果へと変えていかなければならない。今季初ポイントを必ず持ち帰る。その目標をチーム全員でもう一度共有し、ANEST IWATA Racingは今大会で得た収穫と課題の双方を次なる力へと変えるべく、九州の地・オートポリスでの戦いに向けて準備を進めていく。

コメント

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安田裕信
「公式練習では、ニュータイヤでのアタックシミュレーションをジョンウに譲ったため、僕はできませんでしたが、ユーズドタイヤでの走り出しとしては、鈴鹿よりもクルマのフィーリングが良くなっていると感じました。予選でもベストラップの時に少し車がバウンシングして、セクター2で0.2秒ほどロスをしてしまいましたが、ヨコハマタイヤユーザーの中では、決して悪いタイムではなかったと思います。今回こそはポイントを持ち帰れるようにと決勝レースに挑みましたが、自身のスティントでは集団の中で走ることになってしまい、ペースも上げられずに情けないレースをする結果となりました。明らかにレースペース不足を実感していますが、今回は予選Q1も突破できたというポジティブな点もあるので、次戦のオートポリスに向けてしっかりと改善できるように頑張って準備をしていきます」
リ・ジョンウ
「スポーツランドSUGOはあまり走ったことがないサーキットなので、自分でも色々と準備をして臨みました。予選では安田さんにバトンを繋いで頂いて、久しぶりにQ2を走ることができましたが、期待していた結果には至りませんでした。本当に悔しかったですね。自分がやってしまったことなので言い訳はできませんが、同じミスは許されないので、しっかりと自分の走りを分析していきたいです。決勝では、前の車両について行こうとしていた矢先にイグニッションが落ちてしまいました。まだ正確な原因はわかっていませんが、ブレーキバイアスとイグニッションのスイッチが近くにあり、僕が誤って触ってしまったということも考えられます。もしそれが原因だとすれば、迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。原因を分析して、二度と同じことが起こらないように対策をしていきたいです。次のオートポリス大会では、今以上に速く走れるように、しっかりとポイントを獲得して結果を残せるようにしたいです」
松浦佑亮監督
「開幕戦を含め、ここまで戦ってきたなかで出てきたトラブルやクルマのセッティングなどをすべて洗い出した状態で持ち込みました。11号車「GAINER TANAX Z」とのデータ共有も今まで以上に進められたことで、クルマのセットアップとしては、とても良い方向に持っていけたと実感しています。難しいコンディションにおいても今シーズンの中では一番手応えを感じていました。決勝では、ジョンウのスティントで突如エンジンが止まってしまい、まだ原因は究明できていませんが、しっかりと原因を突き止めて対処していきたいです。その後幸いにもSCが導入され、状況を見ながらピットのタイミングを判断しましたが、決勝ではタイヤを酷使していたため摩耗がひどい状況でした。難しい路面にも対応しきれず、なかなか順位を上げられないもどかしいレースとなってしまいました。次に向けての課題ですね。オートポリスに向けて、またしっかりと対策を講じて挑みたいと思います」