2026/08/27

2026年 第5戦 鈴鹿サーキット(三重県)

8月に開催された第4戦富士大会から束の間、3週間後の8月22〜23日に鈴鹿サーキットで開催された「2026 AUTOBACS SUPER GT Round5 SUZUKA GT 300km」へと挑んだ。 前回は今季2度目の富士大会での開催となったが、持ち込んだセットアップと路面コンディションをうまく噛み合わせることができず、あと一歩を詰め切れない状況が続き、予選はQ2進出を逃すこととなった。一方、決勝ではセットアップ変更が奏功し、26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は公式練習から見違えるほどのレースペースを発揮。力強い追い上げを見せるなど、マシンの戦闘力には明確な手応えを得ることができた。しかし、ドライバー交代を行ったピットストップでタイムを失ったことに加え、終盤にはタイヤが脱落しかけるトラブルが発生。クルマにもダメージを負ったことで走行継続を断念し、リタイアという悔しい結末を迎えた。 それでも、前戦で見せた決勝ペースは次なる戦いへ向けた大きな材料となった。そこで得た手応えと課題の双方をチーム全体で持ち帰り、原因の検証と準備を重ねて迎えた第5戦鈴鹿。ANEST IWATA GAINER Racingは、今度こそ持てる力を結果へと結びつけるべく、気持ちを新たに鈴鹿の戦いへと臨んだ。

搬入日から強い日差しが照りつけていた鈴鹿サーキットは、予選日を迎えても厳しい暑さが続いた。午前9時45分にスタートした公式練習は、気温31度/路面温度37度。蒸し暑さも加わり、ドライバーはもちろん、クルマやタイヤに負荷の大きいコンディションとなった。まずは安田裕信が26号車「ANEST IWATA GAINER Z」に乗り込み、クルマの状態を確認しながらセットアップを進めていく。しかし、走り出しからクルマの動きが不安定であり、チームにとっては改善の糸口を探るところからのスタートとなった。それでも安田は周回を重ねながら、松浦佑亮監督やエンジニアと無線を通じて挙動を細かく共有。限られた時間のなかで改善策を探り、フィードバックをもとにセットアップの変更を加えながら、少しずつクルマを仕上げていった。  安田が9周を走行したところで、リ・ジョンウへと交代。しかし、セッション序盤から立て続けに2度の赤旗中断を挟んだということもあり、走行プランにも影響を受け、ジョンウに十分な走行時間を確保することはできなかった。それでも、安田から得られたフィードバックとセットアップ変更を引き継いだジョンウは、限られた時間を無駄にすることなく走行。わずか6周という少ない周回数ながら、鈴鹿のコース習熟を進めるとともに、アジャストを着実に進めていった。 セッション終盤には再び安田が26号車「ANEST IWATA GAINER Z」に乗り込み、それまでに施したセットアップ変更の効果とマシンの状態を確認。限られた走行時間のなかで最後まで改善を探り続けると、自己ベストを更新する1分59秒298をマークした。トップとは0.748秒差の17番手で公式練習を終えた。  順位だけを見れば決して満足できる状況ではなかったものの、走り始めに抱えていたフィーリングからは着実に改善。セッションを通して安田から得られたフィードバックをもとにセットアップを煮詰めたことで、午後に向けてひとつの方向性を見出すことができた。まだ詰めるべき部分を残しながらも、クルマは確実に良い方向へと進みつつある。チームは公式練習で得たデータを改めて分析し、さらなるセットアップの調整を敢行。2戦ぶりとなるQ1突破を目指し、午後の予選へと挑んだ。

公式予選

前年を上回る2万500人のファンが足を運んだ鈴鹿サーキット。大盛況のピットウォークを終えた午後も強い日差しが照りつけ、雲こそ多いものの、予選開始時には気温34度/路面温度46度まで上昇した。午前の公式練習からコンディションが大きく変化するなか、公式予選がスタートした。 予選Q1 A組に出走した26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は、安田がアタックを担当。入念にタイヤを温めながらアタックのタイミングを見計らい、4周目に1分59秒504をマークする。さらに翌周もアタックを続け、1分59秒059まで自己ベストを更新した。しかし、最後までQ2進出ラインへ食い込むことは叶わず、2戦連続となる僅差でのQ1敗退。午前の公式練習ではセットアップ変更によって改善の兆しを掴んでいただけに、チームにとっても悔しさの残る結果となった。
 走行を終えた安田は「まったくタイヤのグリップを感じられなかった」とコメント。気温、路面温度ともに大きく上昇した予選では公式練習時とは異なるフィーリングとなり、午前中に見出したマシンの改善を十分なパフォーマンスへと結びつけることができなかった。決勝を前に、チームにはもう一度車体、そして気温と路面温度にタイヤを噛み合わせるという課題が残された。 ANEST IWATA GAINER Racingは予選終了後、すぐにデータの解析に取りかかり、安田とジョンウからのフィードバックも交えながら原因をひとつずつ検証。決勝で26号車「ANEST IWATA GAINER Z」の持つ力を最大限に引き出し、後方から巻き返すべく、チーム総力戦で改善に取り組んだ。

決勝

予選日を上回る3万2000人ものファンが来場した決勝日。鈴鹿サーキットには朝から真夏の強い日差しが降り注ぎ、決勝スタート時には気温34度/路面温度49度まで上昇。ドライバー、車両、タイヤのすべてにとって過酷なコンディションのなか、決勝レースの幕が上がった。
26号車「ANEST IWATA GAINER Z」のスタートを託されたのは、開幕戦からその役目を担ってきたジョンウ。スーパーGT参戦初年度のジョンウにとって、前戦富士では密集した集団のなかでのポジション争いに苦戦し、前方車両を捉えながらも抜き切れないことが課題として残っていた。そこで今大会に向けては、経験豊富な安田からのフィードバックも取り入れながら、スタート直後の戦い方やオーバーテイクに向けたアプローチを見直してきた。その成果をジョンウは早速発揮する。 25番手から好スタートを決めると、オープニングラップだけで2台をかわして23番手へ浮上。さらに3周目にも1台を捉え、その後も着実に前方との差を詰めながらポジションアップを重ね、他車の戦線離脱も相まってだが、15周目には19番手まで順位を上げていた。前戦で得た経験を確実に自身の走りへと落とし込み、序盤から力強いレースを展開していく。 しかし、その走りの裏側でジョンウは難しい状況に直面していた。公式練習から時折確認されていたパワーステアリングが正常に作動しない症状が決勝でも現れ、思うように攻めきれない状態となっていた。ジョンウは後に「パワーステアリングが効かないという怖さがあり、クラッシュを恐れてしまいました。消極的になってしまったので、もう少し気持ちで攻めるべきだったと反省しています」と振り返った。それでも、不安を抱えながらも、最後までコントロールして自身に託されたスティントを着実に遂行。22周を走り切ってピットへ帰還し、安田へとバトンを繋いだ。
ここから巻き返しを図りたい26号車「ANEST IWATA GAINER Z」だったが、ピットストップではドライバー交代がスムーズに進まなかったことに加え、給油にも時間を要するなど、いくつもの不運が重なり、コース復帰までに大きなタイムロスを喫してしまう。懸命にポジションを押し上げてきたジョンウの走りを次のスティントへ繋げたいところだったが、22番手まで順位を落とし、安田は再び追い上げを求められる状況でコースへと戻った。 安田が乗り込むと、前戦の富士と同様にペースは良好。ピットストップで失ったポジションを取り戻すべく、安田は持ち前の安定した速さを発揮しながら追い上げを開始した。38周目には20番手と着実に前方へと迫っていく。しかし、安田のスティントでもジョンウと同様にパワーステアリングが正常に作動しない症状は続いていた。ステアリング操作に通常以上の力を必要とする状態に加え、真夏の厳しい暑さも重なり、安田の体力は刻々と奪われていく。それでもペースを大きく落とすことなく、最後まで集中力を切らさず26号車「ANEST IWATA GAINER Z」を走らせ続けた。  そんななか迎えた42周目、上位を走行していた車両がクラッシュし、FCY(フルコースイエロー)が導入される。クラッシュした車両はスポンジバリアに激しく衝突しており、安全確保と車両回収に時間を要することが見込まれたため、その後すぐにSC(セーフティカー)へと切り替えられた。最終的にレースが再開されることはなく、SC先導のままチェッカーフラッグが振られ、19番手でフィニッシュした。しかし、レース終了後、SC活動中に追い越しがあったとして40秒加算のペナルティを受け、正式結果は23位となった。ペナルティによって順位を落とす悔しい結末とはなったものの、パワーステアリングに問題を抱えた状態での走行は、ドライバーにとって非常に厳しいものだった。そのなかでも安田は最後まで車両をコントロールし、大きなアクシデントなくチェッカーまで無事にクルマをチームの元へと運び切った。  結果だけを見れば満足できる一戦ではない。それでも、前戦に続いて決勝では追い上げられるだけのペースを示すことができ、着実に進化を遂げている。そして、ジョンウも前戦で浮き彫りとなった課題に対して成長を見せた。一方で、トラブルやピット作業など、チームとして改善しなければならない部分も明確になった今回の鈴鹿大会。2戦連続で悔しい結果とはなったが、今回得たものを次なる結果へと繋げるため、ANEST IWATA GAINER Racingはチーム全体で課題と向き合い、次戦へ向けてさらに改善に努めてチームを磨き上げていく。
■正式結果
公式予選:クラス25位(参加29台)
Q1:1分59秒059(安田)
Q2:出走なし(ジョンウ)
決勝:クラス23位(出走29台)、48周

コメント

安田裕信
「公式練習朝での走り出しはとてもフィーリングが悪く、セッションの後半にクルマのセットアップを変更したら少し改善が見られました。その後もいろいろと試行錯誤をして予選に挑みましたが、まったくタイヤのグリップが感じられず、フィーリングもとても悪い状態でした。自己ベストタイムこそ少し更新できましたが、2戦連続でのQ1敗退と厳しい結果になってしまいました。前戦の富士の決勝レースでは手応えがあっただけに、非常に残念ですね。決勝ではピットでの作業が遅れてしまい、ポジションは下げてしまいましたが、その後のペースはとても良かったです。想像以上に良かっただけに、ピットでのタイムロスはとても悔やまれるレースでした。終盤にはパワーステアリングが効かず、体力的にもとても辛い状況でした。自分もそれに焦ってしまい、ペナルティも出してしまったので、そこは反省点ですが、なんとか走りきることが出来たので、良かったです。結果としては悔しいですが、クルマには改善も見られて、チームのおかげで進化していたので、この良い流れのまま次戦SUGOに向けても全力で頑張ります」
リ・ジョンウ
「公式練習では走行時間こそ少なかったのですが、安田さんとチームのやり取りを無線で聴きながらイメージトレーニングをしていたので、いざ乗り込んだ時に上手く適応させることができました。安田さんが予選Q2に繋いでくれると思っていましたが、クルマのキャラクターが変わってしまい、路面の温度の変化に対応しきれず、厳しい状況でした。第4戦富士の決勝では、スタート後に集団にのまれて、なかなかオーバーテイクをできずに悔しい思いをしましたが、様々なフィードバックを聞いて、自分の中でもアジャストしてきたつもりなので、前向きに捉えています。決勝は前回と違って今回は食らいついて、ライバルのミスも逃さずにしっかりとオーバーテイクをすることができたので良かったです。ですが、もう少しレースペースを上げたかったというのが正直なところです。ピット作業の時も降りる時に戸惑ってしまって時間を要してしまったので、そこは次戦に向けて改善して次に繋げたいです。ポイントを獲得することはできませんでしたが、追い上げることはできましたし、クルマもとても速くなっているので、自分のペースを作れるように、次戦に向けて準備をしていきたいです」
松浦佑亮監督
「第4戦富士が終わってから、チームでできることをしっかりとして、見直して取り組んできたことがポジティブな面に繋がっているなと感じていました。そのなかで予選Q1も僅差で落ちてしまいましたが、コンディションの変化をもう少ししっかりと読むことが出来ていれば、予選Q1を通過できるだけのポテンシャルもあったと思います。見えている結果よりもクルマの状態は一段、二段と上げられていると思うので、着実に前進できていると感じています。決勝では、もちろんトップグループに比べるとペースは劣っていますが、今までよりは格段に差が詰まっていますし、レースとしてはいいペースで走れたと感じています。タイヤのグリップが上がってくると、パワーステアリングがところどころ動作せず、最後の高速コーナーで攻めきれない状況だったので、そこは課題です。ですが、開幕前のテストからの積み重ねで少しずつ良い状態に持ってくることが出来ているので、次戦SUGOに向けてもしっかりと準備をして挑みます」