2026/05/07

2026年 第2戦 富士スピードウェイ(静岡県)

2026年シーズンの開幕からはや一カ月、ANEST IWATA GAINER Racingは次なる舞台、5月3〜4日に富士スピードウェイにて開催された「2026 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 3HOURS RACE GW SPECIAL」へと挑んだ。開幕戦となった岡山では、今季から新たに投入したRZ34 フェアレディZでの初陣となり、チームにとっても未知の要素が多い中での戦いとなった。セットアップ面では試行錯誤を重ねながらレースウイークを通じて改善を進め、予選こそ26番手と厳しいポジションからのスタートとなったものの、決勝では上位陣と遜色のないレースペースを披露。ロングランでの高いポテンシャルを示し、確実に完走を果たした。この結果を踏まえ、第2戦富士ではQ2進出およびトップ10フィニッシュをターゲットに掲げ、準備を進めてきた。

毎年ゴールデンウイーク恒例の一戦として開催されている富士大会は、期間中には83,600人の観客が来場。大きな盛り上がりの中でレースウイークが幕を開けた。走行初日となる3日(日)は朝から好天に恵まれ、気温22度/路面温度34度というドライコンディションのもと公式練習がスタートした。今大会は3時間レースと長丁場であることから、チームはこのセッションを通じてセッティングの最適化に注力。トライアンドエラーを繰り返しながら、予選・決勝双方に向けたデータ収集とマシンバランスの調整を進めていった。

まずステアリングを握ったのは安田裕信。周回を重ねる中で車両のコンディションを確認し、8周目には1分37秒787をマーク。その後、赤旗中断を挟みながらも計15周を走行し、着実にベースセットアップを構築した。続いてリ・ジョンウにドライバーをスイッチし、さらなるデータの積み上げとロングラン時のフィーリング確認を実施。決勝を見据えた重要なプログラムを消化した。

今季ルーキーとして参戦するリ・ジョンウは、19周のロングランを実施。連続周回を重ねながら富士スピードウェイの特性を掴むことに集中し、着実に習熟度を高めていった。自己ベストは1分38秒199まで更新し、今後に向けた確かな手応えを得る走行となった。このセッションを終えて、松浦佑亮監督は「このパッケージになってから岡山大会で初めてレースを戦い、少しずつ見えてきた部分もありました。エンジニア、ドライバー、チーム全員でミーティングを重ね、今回持ち込んだセットアップについてもトライできることは積極的に試しました。思うように機能した部分と、そうでない部分の両方がありましたが、公式練習の中でうまく修正を進めることができました」と前向きにコメント。課題と収穫の双方を確認しながら、チームは着実にパッケージの完成度を高めていく。ポジティブなフィーリングを得た状態で、次なる予選へと駒を進めた。

公式予選


午後からはいよいよ公式予選を迎えた。開始前にはやや風が強まり、気温21度/路面温度27度と公式練習の時よりもやや低いコンディションで始まった。Q1A組に出走した26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は、まず安田が乗り込み、アタックを開始した。丁寧にタイヤの熱入れを行うと、4周目には1分36秒577をマーク。連続アタックでさらに0.357秒を縮めることに成功し、6番手につけてみせた。新車投入後としては初の予選Q1を突破。チームとして掲げていた目標のひとつをクリアし、ポジティブな結果となった。

続く予選Q2は、ジョンウが担当。スーパーGTでは初めての公式予選となったが、アタックシミュレーションは今までに経験済み。自信を持ってアタックへと臨んだ。4周目には1分36秒343と、安田に迫るタイムをマーク。その勢いのままラストアタックへと突入すると、セクター3でややオーバースピード気味に進入してしまい、タイムロス。最終的に1分36秒391と自己ベスト更新には届かず、結果は16番手となった。上手くまとめ切ることができていれば、好タイムも期待されただけに悔しさの残る結果ではあったが、チームを含めてジョンウは「この失敗も次につながる」と前向きに捉え、決勝に照準を当てた。

公式練習から積み重ねてきたトライ&エラーと改善の成果により、予選では現状でのベストなパッケージで走行することができた。今回の結果はANEST IWATA GAINER Racingにとって大きな自信となるとともに、RZ34 フェアレディZの方向性もより明確になり、習熟も深まった予選となった。確かな手応えを胸に、チームは決勝レースへと臨んだ。

決勝


快晴となった予選日は夕刻から下り坂となり、決勝日の4日(月)は一転して朝方まで強い雨が降り続いていた。天候も心配されていたが、ピットウォークまでには雨も上がり、徐々に日差しが戻るとともに路面はドライへと回復。気温24度/路面温度43度というコンディションの下、いよいよ14時より決勝レースが始まった。26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は、安田にスタートドライバーを託した。16番グリッドからスタートし、オープニングラップではいきなりバトルが勃発。ストレートでは87号車「OPEN HOUSE Lamborghini GT3」とサイド・バイ・サイドの攻防となるも、1コーナーでイン側から巧みにオーバーテイクを決め、早くもポジションアップ。序盤から高いパフォーマンスを発揮した。

序盤はランボルギーニ艦隊に挟まれる形となったが、前後との間隔をコントロールしながら安定したペースを維持。さらに同じヨコハマタイヤを使用する4台による接近戦の中でも冷静なレース運びを見せ、ポジションを守り続けた。しかし、想定以上に上昇した気温と路面温度の影響により、タイヤの摩耗は想定を上回るペースで進行。スティント終盤にかけては徐々にラップタイムが苦しくなり、21周目には1台に先行を許す展開となった。これを受けてチームは即座に戦略を見直し、当初の予定よりも早いタイミングでのピットインを決断。この判断にピットクルーも迅速に対応し、26周目にピットイン。タイヤ交換および給油のフルサービスを正確にこなし、再び安田をコースへと送り出した。チーム一体となった対応により、次のスティントへと繋げる重要な局面を乗り切った。

コースへ復帰した安田裕信は、フレッシュタイヤのアドバンテージを最大限に活かし、再びプッシュ。各車が1度目のピット作業を終えた時点で15番手につけることができた。レースは開始から約1時間30分を迎える手前でFCY(フルコースイエロー)が導入される場面もあったが、大きな波乱には至らず、すぐにリスタート。その後も赤旗やセーフティカーの介入はなく、クリーンな展開のままレースは進行していく。3時間という長丁場の中で、他車にはペナルティやトラブル、リタイアが発生するケースも見られたが、安田は安定したペースを維持。着実に順位を上げ、53周目には14番手へと浮上した。

終盤は、前方を走る11号車「GAINER TANAX Z」との差を詰める場面も見られたものの、オーバーテイクには至らず、65周目に2度目のピットインを実施。ここでジョンウへとドライバー交代を行い、最終スティントを託した。しかし、ピット作業自体はミスなく完了したものの、ピットロードを数メートル進んだところでマシンが突如ストップ。レース残り約1時間というタイミングでトラブルが発生する。メカニックが即座に原因究明と修復作業を実施し、約7分後にコースへ復帰を果たした。だがその後、走行中にシフトのアップダウンが正常に行えないとの無線が入り、再びガレージインを余儀なくされる。懸命な作業により10分ほどで再度コースへ復帰することはできたものの、この間に大きくポジションを落とし、27番手まで後退を強いられてしまった。

トラブルを抱えながらもジョンウは、クルマの状態を見極めながら慎重な走行を継続。厳しい状況の中でも最後まで走り切ることを最優先に、着実に周回を重ねていった。終盤には1台がリタイアしたことでポジションをひとつ上げ、最終的に26号車「ANEST IWATA GAINER Z」は26位でチェッカーを受けた。トップからは8周遅れとなったものの、無事に走り切ってチームの元へとクルマを運び切った。

今回発生したトラブルの原因については、レース終了時点では突き止めるまでには至らなかったが、ANEST IWATA GAINER Racingは次戦までに徹底した分析と対策を講じる構えだ。予選では新体制となって初のQ2進出を果たし、決勝でもポイント圏内が見える位置で戦えていただけに、悔しさの残る結果となったことは否めない。しかし、その一方でパフォーマンス面での確かな手応えも得ており、この経験を糧にさらなるレベルアップを図っていく所存だ。

シーズン3戦目はマレーシア大会が予定されていたが、開催延期となったため、次回のSUPER GTはシリーズ第4戦が、8月1〜2日の富士スピードウェイにて開催される予定だ。シーズン中においては非常に稀な3カ月というインターバルを挟むこととなる。再び同じ舞台となる富士スピードウェイでの一戦に向け、ANEST IWATA GAINER Racingはすでにリベンジへの強い意志を胸に、次なる戦いへの準備を進めている。

■正式結果

公式予選:クラス16位(参加29台)
Q1:1分36秒220(安田)
Q2:1分36秒343(ジョンウ)

決勝:クラス26位(出走29台)、99周(8周遅れ)

コメント


安田裕信
「前回大会を経てヨコハマタイヤとフェアレディZの組み合わせは未知なことがまだあるので、チャレンジしていかなければならないということで、今回は思い切ってセットアップを変更しました。練習走行では良いところと悪いところを洗い出し、変更を加えたことで、大幅な改善が見られました。僕が担当した予選Q1は、ヨコハマタイヤユーザーのトップで終われたので、とても嬉しかったですし、今後に繋がると感じました。決勝ではスタートドライバーを務め、スタートもうまくいきましたが、少しタイヤが摩耗し始めたことでペースを上げられず、バトルでも競り負けてしまいました。自分の中でとても悔しいですし、反省点です。今回はトラブルに至るまでに、いいパフォーマンスを見せることができたというプラスの材料もあるので、今回の課題をしっかりと見直して、次回に巻き返したいと思います」

リ・ジョンウ
「テストも含めて松浦監督と安田さんがニュータイヤを履いた状態での走行をたくさん設けてくださっていたおかげで、予選ではすぐ慣れることができました。手応えを持っていましたが、セクター3で少し攻めすぎてしまいました。ですが、前回の岡山大会よりも確実に進歩しているなと実感できました。決勝では最終スティントを担当しましたが、ピットからスタートした後に発進ができませんでした。トラブルはまだ原因が究明できていませんが、本当に不運でした。公式テストでは下位に沈んでいましたが、前戦の岡山も経て安田さんとも意見を交えながら着手したことで、今回は予選Q1を突破、決勝でもようやく戦える車両に仕上げることができ、ポイントを取れるところまでいっていたのにとても残念です。次の富士に向けて、次こそはしっかりと結果を出せるようにチームとともに準備を進めていきます」

松浦佑亮監督
「予選Q1突破を目標のひとつにしていたので、無事に突破できて良かったですし、ジョンウにとっては今回の経験はとても大きいと思います。岡山大会に比べてクルマの方向性も見えてきましたし、大きくステップを踏めていると感じています。決勝では想定よりも路面温度が高く、クルマのセッティングをはじめタイヤも辛いというのが正直なところです。ジョンウに変わった後もエンジンがかからず発進できないというトラブルが発生し、その後もなんとか走り出すことができましたが、そのまま後方でレースを終えることとなりました。なんとか15位以内には入りたいという思いが強かった中で、イメージ通りのレースペースを作ることができず、非常に悔しいです。次戦は8月になりますが、予選Q2でもトップ10を狙えるように、チームともコミュニケーションを重ねて、しっかりと対策をしていきたいです」